あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら

を読了しました。ネタバレ注意です。

 

突然に第二次世界大戦末期の日本にタイムスリップしてしまった百合という少女が、そこで出会った特攻隊員の彰と恋に落ちる、という物語でした。

 

彰に恋心を抱いた百合ですが、彼が特攻隊員であり、すぐに死んでしまうから、報われないからとあまり考えないようにしていました。

しかし、彼と過ごし、幾度も彼の優しさを目の当たりにする中で、ついにその気持ちを誤魔化しきれなくなったシーンにはとても感動しました。

 

恋愛というのは障害が大きれば大きいほど燃え上がるという話を聞いた事がありますが、この場合は特攻という「約束された死」が障害なのでしょうか。それが生み出す葛藤を確かに感じました。

彼を好きという気持ちを認められない葛藤。

ようやくその気持ちを認められたのに、彼はもうすぐ死にに行ってしまう。なのにそれを止める事ができないという葛藤。

本作での1番の見どころを生み出しているのは彰が特攻隊員という、百合の恋路を阻んでいる大きすぎる障害だと思いました。

 

 

また、母や学校、身の回りの全てに不満を持ち苛立っていた百合でしたが、戦時中の経験を経て、育ててくれた母に感謝をし、家出をして心配をかけた事を謝罪して仲直りをしました。

空襲に怯えずに、クーラーがあったり、暖かい風呂に入れるという現代の暮らしのありがたさを実感するようにもなりました。

このように荒れていた主人公の成長、変化が見られるのも良いなぁと思います。

 

感想は以上となります。

 

 

 

 

 

最近は為末大さんの「熟達論」に関する動画をみまして、とりあえずたくさんの作品を見ながら「型」について理解を深めたいと思いました。

 

今のところは、「葛藤」と「変化」に焦点を当てていこうと思っていて、上記の感想でもその2点に注目してみました。